Spiritual Hacks

心に愛を刻み付けて生きていくしかないから。

明確に否定しちゃったら、ダメじゃね?

最近、ドラマを観てる。

Twitterで絡んでる方はご存じだと思うけど、「嫌われる勇気」というドラマを観てる。

 

「嫌われる勇気」っていうのは、元々アドラーの考え方を紹介した本で、「先生と生徒」っていう解りやすい構図で話しが進むので、「哲学なんて難しい」って思った人にも読んでほしい良本なのね。

 

おいらは「嫌われる勇気」と、続編の「幸せになる勇気」も読んでて、しかも本を読んだ後、引越しした時に手放したんだけど、結局また読みたくなって電子書籍版買ったって言うくらい、好きな本。

 

この「嫌われる勇気」をドラマにするっていうんで、放送前からかなり楽しみにしてたんだよね。若者と先生、キャストはどうなるのかなぁとか、連ドラにするにしても中身が濃ゆいから、どの話が採用されるのかな、とか。

 

ところが、「実写化」するにあたって、不思議なことが次々と起き始めた。何故か「刑事ドラマ」になったり、本には出てこない女性主人公が出てきたり。

一抹の不安を感じつつ放送を観はじめると、やっぱり違和感が強くて、ドラマとしては面白いんだけど、アドラー初心者のための入門としては、なかなか難しいねってところが多々ある。

 

例えば主人公である蘭子さんの性格。色んなものを明確に否定しちゃったり、「それは私の課題ではありません」って関わることを避けたりしてるんだけど、「アドラーやり始めると、こんな風な人になるんだ!」って思われたら、アドラーのカウンセリングやってる人たちは、たまったもんじゃないよね。

 

アドラーは、まずどうやって自分を理解していったらいいかってのがベースにあって、最終的には、どうやって自分と周囲を関連付けていくか、ってのがあるわけで。そこが「明確に否定」されると、ちょっとそれはアドラーではなくて、サイコパスに近いかもしれない。

 

あと、椎名桔平さんが(役のセリフで)言い放った「ナチュラルボーアドラー」ってのにも笑った。「そんな言葉があるの?」って思わず調べたけど、在るわけない(笑)。

しかも、同じように感じた人がかなりの人数いたみたいで「ナチュラルボーアドラー 意味」とか、「ナチュラルボーアドラー って何」とか、予測変換の嵐(笑)。そりゃ、そんな「ナチュラルボーンキラー」みたいな言われ方したら、気になって仕方ないよね。

つまり、このドラマは、アドラーをベースに、面白そうで耳に残る単語を散りばめて、なんとなく「蘭子さんが変人なのは生まれつきアドラー心理学を理解しているせい」みたいなことになってるわけなんだけど・・・。

 

たぶん、「嫌われる勇気」をあらかじめ読んでる人は面白がって観られるけど、それを本気で真面目に広めようとしてる人達にとったら、とんでもないことだよね。「人の畑、荒らすな!」ってやつ。

 

って思ってたら、総本山が抗議文出してた。

「テレビドラマ『嫌われる勇気』に対するフジテレビへの抗議文をこちらに掲載しています。(02月10日)」

(日本アドラー心理学会の抗議文へリンクしています)

http://adler.cside.ne.jp/common/pdf/fuji_tv.pdf

 

ATARU」の時も感じたけど、ドラマ(一部のドキュメンタリーも)にした瞬間に、なんだか「自分たちとは関係ない、すごい人(能力者)が出てくるドラマ」みたくしたがる感じがあって、イラっとする要因になる。

 そうじゃなくって、捉え方が違うだけなんだよね。普通に生きてたら拾わないところを拾うようになるだけ。見逃していたこと、見過ごしていたことに、気が付くようになるだけ。

その部分だけをドラマにしてくれたら良かったのに、変に刑事ものにしたり、ややこしい性格の女性出したりするから、本質から外れてノイズが増えて、要点がぶれていって、最終的に何がいいたいかよく分からないドラマになっちゃってるように感じる。

 

もう、椎名桔平加藤シゲアキだけで良かったのに(笑)。いや、ドラマとしての「嫌われる勇気」は好きなんだけど・・・アドラーか?って言われたら、「かもね?」ってくらいの掠り方しかしてないんだよね。

 

所々、「他者の課題」とか字幕出して強調してくる感じとかあって、「あぁ、それの話なんだ、今日は」みたいな気持ちになるのね。

 

だったら、もっとわかりやすいエピソードにしようよとか、思う所はいっぱいあるの。でもまぁ、観てるだけだから何とでも言えるんであって、現場の人は一生懸命作ってるからね。

 

それでも、総本山が抗議書出してるのは、あまりにも内容がアドラーから離れていってるからなんだろうな。同じ言葉を使ってるんだけど、意味が違う、みたいな。

 

先週の放送では、蘭子さんの暴走っぷりに課のみなさんが辟易しつつ、それでも「自由で羨ましい」っぽいせりふを言わせていて、さぁ、これから課の全員で暴走し始めるのか?って雰囲気が出てきて怖いんですけれども。

 

この先の脚本が、ドラマ独自路線を突っ走るのか、総本山に少し近づくのか、(ドラマの内容の展開はさておき)目が離せないですね~。